施設の安全管理

< リスクマネジメント講座 No.18 >
施設の安全管理ににおいてもっとも大切なことは、施設側の自己点検の姿勢にあると思う。そしてそれは、施設のハードとソフトの両面において行われる必要がある。
施設側としては、施設や施設で行われるプログラムにどのような危険が潜んでいるか把握する必要があり、それを利用者やその指導者に事前にかつ正確に知らせることが大切であると考える。
 今回は、私が数年前勤めていた研修センターでの話をしたい。このセンターは、都市型の研修施設であり異年齢の多くの人々が利用していた。当時の施設ボランティアが自主企画として、「安全ウォークラリー」というワークショップを実施した。
ワークショップは、ボランティアが2つのグループに分かれ、利用者の視線・目線でくまなくセンターを歩き、安全について気づいたことをまとめ、お互いに発表し合うというものであった。ある者は子供の視線で、またある者は障害者の車いすの視線でウォークラリーを行った。
 その結果、安全に関しての最重要課題が6件、その他重要課題が14件あげられた。
手すり(縦)の間隔が少し広めのところがあり、非常に危険であった。対応策として、手すりの間にアクリル板を入れることを提案していた。また、別の指摘では、らせん階段があり、吹き抜けになっている場所がある。誤って物を落としてしまうと、下を歩いてる人に当たってしまう。対応策として、ネットを張ることを提案した。そして、これらの提案のいくつかは、センターによって実現されていった。
 以上の話は、ボランティアが自主的に施設(ハード)の危険ポイントを調べ、安全に対する提言を行うワークショップの例であった。この次の段階では、施設側は把握した危険箇所を利用者に正確に伝えていくことになるのだが、このワークショップではそこまで行ってはいない。
 最後に、みなさんが使用するキャンプ場や自然体験プログラムにおいても、安全に対する意識を高めるため、職員やボランティアによってこの種の自己採点ワークショップを実施してみてはいかがだろうか。

文 / 久保田 康 雄
独立行政法人国立青少年教育振興機構
URL http://www.niye.go.jp/

2010/04/19